続Element.Methods。問題とちょっと改良

以前のエントリー でprototype.js1.5のElement.Methodsについて書きました。 前回はいいところをプッシュして書いたんですが、皆さんご存じの通り問題児でもあります。

Element.Methodsの問題点

  • elementを拡張するかしないかが選択できない。
  • プロトタイプチェーンがつながっていない。
  • document.createElementが考慮されていない。

■elementを拡張するかしないかが選択できない。

まずわかりやすくこれから。elementは取得された時に拡張されるわけですが、当然パフォーマンスに影響があります。使いたくない人もいるでしょう。しかし、Element.extendによる拡張は$にも$$にも組み込まれていて選択できません。メソッドを置き換えて回避は可能ですが、組み込まれている、ということを考慮すると当然extendされている、ということを前提としたライブラリも出てくるでしょう。となった場合にやっかいです。別名のメソッドを定義してもいいですが・・・やっぱり$って名前がいいよね!(何

■プロトタイプチェーンがつながっていない。

これは当然の問題。Element.extendは文字通りelementにElement.Methodsのメソッドをコピーしているだけ。しかも一回取得すると、_extendedというフラグが立って次回からはもうextendされない(パフォーマンスを考慮してのこと)。つまり Element.Methodsへのメソッド追加が反映されない、メソッドの内容変更も反映されない。  つまり、恐らく$か$$されるだろう、window.onloadイベント前にElement.Methodsへのメソッド追加を完了させ、それ以降変化させない、という事に注意しないといけない。

ではなぜプロトタイプチェーンがつながっていないのだろうか。Elementは拡張できないんだろうか。これはYesでありNoです。 まず、このElement.Methodsによる害をある程度押さえ込むことのできるソースを示します。 これはFirefoxなどMozilla系、safari、Operaで有効です。

 1(function() {
 2if(!window.HTMLElement) window.HTMLElement = document.createElement("xxx").constructor;
 3if(window.HTMLElement) {
 4    var methods = Element.Methods, property;
 5    var bind = function(name, method) {
 6      HTMLElement.prototype[name] = function(){
 7        Array.prototype.unshift.call(arguments, this);
 8        return method.apply(null, arguments) || this;
 9      }
10    }
11    for (property in methods) {
12      var value = methods[property];
13      if (typeof value == 'function') bind(property, value);
14    }
15    HTMLElement.prototype._extended = true;
16}
17
18})();

このコードを 最後に(window.onloadの直前で)実行すれば OKです(scriptaculousとかもElement.Methodsを拡張するので、その拡張が終わった後)。 これでelementがプロトタイプチェーンでつながっているブラウザでは$による負荷を軽減できます。$(“test”).show()とかも実行できますし、引数操作によるパフォーマンス低下がいやならElement.show(“test”)と実行すれば良いだけです。しかも地味にreturn method.apply(null, arguments) || this;とすることによって$(“test”).update(“hogehoge”).show()とか書けるようにもしてみました(笑

しかしIEはどうしようもありません。 そもそもIEはelementがプロトタイプチェーンをもっていません。 document.createElement (“div”).constructorとやってもprototypeとやってもundefinedと抜かす強敵です。これは昔から対策が考えられていますが、つまるところElement.Methodsと同様にコピーするだけです。それをhtcをつかってみたり、コンストラクタを擬似的に作ってみたり、とかっていう方法で実装しているだけです。なのでElement prototypingしようと思うとIEでは現状これが限界です。

■ document.createElementが考慮されていない。

先ほど示したソースでelementがプロトタイプチェーンをもつブラウザでは当然document.createElementで作成した elementもElement.Methodsのメソッドが実行できます。しかしIEではそれができません。この document.createElementも考慮して先ほどのElement.Methods対策ソースを改良しましょう。

 1(function() {
 2if(!window.HTMLElement) window.HTMLElement = document.createElement("xxx").constructor;
 3if(window.HTMLElement) {
 4    var methods = Element.Methods, property;
 5    var bind = function(name, method) {
 6      HTMLElement.prototype[name] = function(){
 7        Array.prototype.unshift.call(arguments, this);
 8        return method.apply(null, arguments) || this;
 9      }
10    }
11    for (property in methods) {
12      var value = methods[property];
13      if (typeof value == 'function') bind(property, value);
14    }
15    HTMLElement.prototype._extended = true;
16}else {
17  document._createElement = document.createElement;
18  document.createElement = function(tag){
19    return Element.extend(document._createElement(tag));
20  }
21}
22
23})();

赤色で示した部分が追加部分です。これでIEでもdocument.createElementした後に直接Element.Methodsのメソッドが実行できます。何度も言いますがパフォーマンス低下がいやな人はこの追加部分を省いてください。

というわけで今回はElement.Methodsの問題への対応策を示してみました。要はIEがelementがプロトタイプチェーンを持つようにしてくれれば万事解決なわけなんですよね。でも結局IE7でも実装されていないようで、なかなか・・・

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